非公開特許制度、どこまでを非公開?

先日、経済安全保障推進法(令和4年法律第43号)に基づいて、特許を非公開にできる技術分野の25分野が有識者会議で示されました。
本来、日本の特許出願は一律に公開されます。これは、特許権者に独占使用権を一定期間与えることに対して、出願された発明を公開して、第三者による改良技術開発を促進することや研究開発重複を回避できることのメリットとで、バランスをとっているからです。ところが今回の特許を非公開とする制度は、この原則に反します。
確かに他国の安全を脅かす兵器を開発している国々は存在し(それは一方向からとは限りませんが)、公開された特許技術がその開発のために利用されるのは大きな問題です。特許が特許法の目的である産業の発達に寄与するものではなくなってしまいます。したがって、兵器開発に利用できる技術を含んだ特許を非公開にすることは、致し方ないのかもしれません。
ただ、どこまでを該当特許とするのかの判断が難しいのではないのでしょうか。絞りすぎると利用できる技術が知られてしまいますし、拡大解釈は産業の発達の弊害となり得ます。特許非公開制度、いろいろな課題が出てくるような気がします。